世界保健機関(WHO)は、1988年に5月31日を「世界禁煙デー」と定めましています。 厚生労働省では平成4年から、「世界禁煙デー」が始まる1週間を「禁煙週間」として各種の施策を展開しています。2025年度は「受動喫煙のない社会を目指して ~私たちができることをみんなで考えよう~ 」をテーマに各自治体やさまざまな団体がキャンペーンを行っています。
今年度のテーマである受動喫煙について少し考えてみましょう。
受動喫煙とは、喫煙者が吸っている煙を非喫煙者が吸い込むことを指します。これは、喫煙者の吸った煙(主流煙)だけでなく、煙草の火から直接出る煙(副流煙)も含まれます。副流煙には有害な化学物質や発がん性物質が多く含まれており、非喫煙者の健康に悪影響を及ぼすことが科学的に証明されています。
2016年に公表された厚生労働省の喫煙の健康影響に関する研究班報告では、日本国内で年間約1万5千人が受動喫煙により死亡しているという推計が報告されています。自分で対策の出来ないお子さんや乳幼児への影響は甚大で小児喘息、乳幼児突然死症候群などの発症、重症化リスクが上げられます。特に乳幼児突然死症候群では、妊娠中の受動喫煙によりリスクが上がることが確実です。これらは、喫煙者本人ではなく、喫煙者の煙の影響を受ける受動喫煙による健康リスクのことであり、喫煙者本人の健康リスクは最も高くなります。
【受動喫煙の健康への影響】
- 呼吸器系の疾患(喘息や気管支炎など)の悪化
- 心臓疾患のリスク増加
- 小児や妊婦に対する特に危険性が高い
- 長期的には肺がんやその他のがんのリスクも高まる
【対策と法律】 多くの国や地域では、公共の場や職場での喫煙規制が強化されており、禁煙エリアの設定や喫煙所の制限などが行われています。日本でも、健康増進法に基づき、屋内の公共施設や飲食店などでの喫煙規制が進められています。
【個人の対策】
空気清浄機の使用や換気を徹底する
禁煙場所を選ぶ
家族や周囲の人に喫煙を控えてもらう